俺は銀河の流れ星

これは無職が漁師になるまでの体験記。

海に漂う謎の黒マスク

タラ網をたいている最中。

※網たき:使った網をもう一度使える状態に片付けること

 

網にこんなものがかかっていました。

マスクみたいな形をした若干のふくらみがある...昆布の破片????

もしくはただのゴミだと思ったので何も気にせず網から外してポイッと。

 

親方「それカスベ」

 

....???

カスベ…?

d-shi.hatenablog.com

これ??何をおっしゃってんのん?

 

親方「カスベのこっこ」

 

D「ハァ...?コレガ...」

この時、マジで言ってる意味が分からなかったので適当な相槌しか打てませんでしたが作業が終わった後もう一度詳しく聞いてみたらカスベの卵が入っている袋とのこと。

 

いや最初からそう言われてたんだけど、目と手の感触から入ってくる質感と耳から入ってきた動物の卵という情報のちぐはぐさに脳が混乱してすぐに結びつかなかった。

 

「カスベのタバコいれ」とか呼ばれることもあるらしい。

正直「煙草入れ」なんて絶滅危惧種でたとえられてもピンとこないので「カスベのイキリマスク」くらいにしてはどうか。

 

そういえばこれ、中身はどうなってるんでしょうか...?

なぜ写真を撮るときに覗いてみなかったんだ私よ。

次見つけた時は開いてみよう。

 

なんにせよこれは漁業関係者でも漁船に乗ってる人しか知らないような知識が身につきましたね。

披露する機会はなさそうですが。

 

それではまた

配給だ~~~

並べ~~~親方からの配給の時間だ~~~!

イカ!!!!

 

昨今の値上がりブームが始まるより前からいち早く値上がりし今もなお流行の最先端で高価になり続けるストイックな海の味覚。

 

私たちが獲りに行ったわけではないので戦利品シリーズじゃありません。

 

親方の知り合いの漁師がイカ漁に出るとのことで水揚げがあったら購入させてもらえるように頼んでおいたみたいです。

 

そんなわけで親方が木箱で二箱買ってきてくれました。

木箱って…卸売りでしか見ないやつだ。

そして従業員一同に配ってくださいました。

ありがたや~~~

 

とりあえず内蔵を出すなどして下処理をして冷凍。

また冷凍庫が潤った。

私は塩辛が苦手なので腸は使い道がないですね。

 

刺身も作りましたがここはひとつ北海道という事で...

いかめし!!

 

面倒くさそうな料理ですが一人分作るだけなら意外と手間がかかりません。

米も炊かなくていいしイカの皮も剥かなくていいしね。

なんならイカの下処理にかかる時間の半分以上は皮むきだと思ってるので。

 

あとこれは友達に教えてもらったのですが適当に薄めためんつゆに生姜とゲソを入れるだけでいい感じのつまみになる。

料理しながらぱくぱくつまんでました。

お試しあれ。

 

それではまた

アバチャンという魚

タラ網をやってると招かれざる客が混ざってきます。

 

こいつ。

www.zukan-bouz.com

アバチャンという魚。
水族館のサイトではやけにかわいらしく紹介されてたり実は美味しい、廃棄されて流通に乗らないのが惜しい、なんて書かれてることもありますが大事なことが書いてない。

 

こいつ、マジでハチャメチャに臭い。

 

しかも最悪なことに船に酔うタイプの臭さを放ってるんですよね。
魚の生臭さとか動物の獣臭さとかとはちょっと違う。
なんかこう、嗅いじゃいけない薬品の匂いを嗅いでしまったかのような...
一気に具合が悪くなるタイプの匂い。

 

殺人的な臭さです。
実際ひどい船酔いの人にこいつの匂いを嗅がせ続けたら死んでしまうんじゃないか。

 

特に水揚げ直後は三割り増しくらいで臭い気がする。
陸で改めて嗅ぐと「ん?こんなもんだったか?」ってなる。

 

顔つきもまぁ憎たらしい(止まらないヘイト)。
豚鼻っぽく飛び出た突起に低くて周りがボツボツしてる唇。
ファンタジーの不細工低級モンスターって風貌です。
オマケに身体のほとんどが水分でのらりくらり手から逃げていくから微妙に網からも外しにくい。

 

RPGに出てきたらロクに攻撃もしてこないくせにデバフばっかり撒いて無駄な耐久力のせいでターン数ばかりかかる害悪モンスターになることは間違いないでしょう。

 

アバチャンに対してここまでの憎しみを文字にしたページはほかにない気がするな。

 

ちなみに唐揚げにするとおいしいというのは地元の人も言っていたので確かな情報らしいです。
やってる人見たことないし私もやらんけど。
家の中に持ち込みたくないしな。

 

それではまた

戦利品シリーズ タラ

タラ漁が始まってますわよ~

 

親方も、ほかに手伝ってくれたことのある漁師さんも、自他共に認める冬の地獄、タラ漁。

 

ここで経験できる漁では一番きつい。

 

時期としては11~3月の間でそこそこ期間がありますが回数はそんなに多くはありません。

せいぜい月数回ってところでしょうか。10回はいかないかな。

 

何がきついって時化と乗船時間ですかね。

冬の北海道の海はとにかく時化る。

うん千トンのフェリーだってしょっちゅう欠航するくらいですから漁船が出れる日も限られるし、仮に凪で出たとしても一日中凪でいてくれることは極めて稀です。

揺れの大きさは鮭やホッケの時と比べ物になりません。

 

そして一度漁に出れば12時間は船の上。

皆さん知ってましたか?人間は陸から離れてる時間が長ければ長いほど疲れるんですよ♨

船の大きさが違うとは思うけど遠洋の人たちとか本当にすごいなと思います。

 

はい、そして戦利品はもちろん...

タラでしょうね

タラはとにかく痛みが早く網を回収した時点でも出荷できないやつが結構混じってます。

 

「シオムシ」と呼ばれる寄生虫がつくとすぐ傷み始めるらしい。

ビジュアルはミジンコをでっかくしたような姿。そんなにグロテスクではない。えらの中にいます。

流通段階で弾かれるのでネットでタラの寄生虫を調べても出てこないですね。

今度チャンスがあったら写真撮っときます。

 

とりあえず捌いてみたのはメスでしたね。こっこが入ってます。

鍋にしたいのでオスのたちも回収してきました。

身と肝臓を豪快にぶつ切りにして...

タラ鍋!!

間違いない冬の味覚!!!

 

ちなみに肝臓とたちを適当に鍋に残し、お玉で潰してからご飯と卵を入れ締めの雑炊を作るとお手軽に狂えるのでお勧めです。

 

それではまた

戦利品シリーズ ホタテの稚貝

12月だ~

 

相変わらず雪、時化、雪で中々漁に出ることもありません。

一応11月中旬からタラ漁が始まっていますが半月で3回しか出れませんでした。

 

さて、そんな冬の仕事の一つにホタテの詰め替え作業があります。

まぁこっちも派手に時化るとできないので常に操業できるわけではありませんが。

 

ホタテは海で種を採集してそれを籠に詰めた1年生、ちょっと大きくなったので大きい籠に詰め替えた2年生、さらに大きくなったので籠当たりの枚数を少なくした3年生、そして翌年やっと出荷されます。

 

ちなみに種っていうのは数ミリのホタテ貝ですがこれは海に玉ねぎのネットを沈めておくと自然に付着するのです。

 

そして詰め替え作業をやっているという事は...

戦利品はもちろんホタテの稚貝ですな♨

 

定番の酒蒸し、

 

ちょっと豪華な味噌汁、

 

さらにはカレーまで、なんにでも使えるオールラウンダーです。

 

詰め替えの過程で死骸や小さすぎる貝が弾かれ廃棄の山が出来上がるのですがそこからまだ食べれそうなものをちまちま拾ってきてます。結構あるんですよね。

フードロス削減ですね(笑)

 

詰め替え作業をやってる限りほぼ無限に手に入る稚貝。

次はなにを作ろうか。

 

それではまた

戦利品シリーズ つぶ貝

こんなのが網にかかってました。

でっけーつぶ貝。

網にかかってくるのは珍しい。

このサイズも私は初めて見ました。

つぶ貝は貝殻の裏側辺りに貝柱があって、そこを切ればするっと抜けると教えてもらったのですが...

よくわかんなかったし面倒なのでハンマーで叩き割りました♨

 

さてコリコリした食感が美味しいつぶ貝。

回転ずしのネタでもそこまで高級なほうじゃない食材ですが実は調理はすごい手間がかかります。

 

まず絶対に忘れちゃいけないのが唾液腺の除去です。

周りの耳の部分はさくっと綺麗に剥がれるのでまずは耳を剥がしてつぶ貝の後ろの部分から包丁を入れます。

ぱっくりと割れた中に見える脂身みたいなとこ。

これを綺麗に除去します。

見つけてしまえば指でこするだけで簡単にとれますが摂取するとめまいなどを引き起こす危ない部分です。

(まぁ一個くらいなら問題ないらしいけど)

 

そしてその後はぬめりがとれるまで塩で何度もこすって洗います。

想像の倍くらいの回数は洗います。

今回は7,8回洗いました。

 

そこまでしてやっと食べれるようになるんですね~。

 

食感がいいし貝の中では結構好きなほうのつぶ貝ですが調理は本当に大変。

この大変さを知ってからは外食で食べれる機会があったら積極的に食べるようにしています。

自分でつくりたくないので♨

 

それではまた

戦利品シリーズ てっくい~ホタテを添えて~

てっくいとは...

バカでかいヒラメのことです♨

 

ばかでっかいというのがポイント。

噛みつかれたら指どころじゃなく手ごとガブッといかれるくらい大きくて活きがいいヒラメってことらしいですね。

 

そんなお化けヒラメが網にかかったのでみんなで山分け。

でけーーーーーwwwwwwww

 

普通の三徳包丁がフルーツナイフに見える。

ヒラメ料理が一通りできそう。

 

とりあえず刺身にするか。

そしてこんなものも頂いています。

でっけーーーーーwwwwwwwww

 

成人男性の掌が隠れるホタテ!!!

親方の本業は養殖業なので実は一番頻繁に貰えてたりする。

私が北海道に来てから食べたホタテの量はもう一生で食べてきたホタテの累積を越えてると思う。

 

色味が真っ白ですがヒラメとホタテのお造りが完成。

ホタテの耳は人によって色々な食べ方があると思いますが(中には捨てる人もいるらしいけど)私は湯通しして適当にサラダにするのが好き。

この日はメンマと胡椒でさっと和えました。

耳がきくらげにも似た食感なので若干中華サラダっぽくなります。

細切りしたきゅうりととびっこで和えても美味しいです。

 

素材が最高だと適当でも美味しいものができるから創作料理が捗りますね。

 

それではまた